『3.11』
この地、仙台で活動する私たちにとって、決して忘れることができない日です。
令和3年3月11日、震災から10年の節目を迎えます。
先日も福島県沖を震源とする大きな地震があり、10年前の東日本大震災当時が思い出されます。
現在はコロナ禍であり、普段通りとはいきませんが、私たちは今も変わらずマーチングを継続することが出来ています。
当時は現在よりも通信手段に乏しく、震災直後はメンバーの安否確認をするだけで精一杯でした。また、練習の再開など、到底考えられる状況ではありませんでした。メンバー全員の無事が確認できたのは、震災から1週間後のことでした。
私たちは当時、アパートの一室を借り楽器を保管していました。
震災によりアパートの全壊が報告され、練習再開がまた遠ざかってしまうのではないかと、途方に暮れておりました。
そんな中、ブログやTwitter、電話など、全国・世界各地の皆様から、温かい励ましのメッセージが届きました。
全国各地から本当に温かいご支援を頂き、予てから念願であったトラックを購入し、バンドの財産である大切な楽器や手具などを保管することができ、練習再開へ大きく前進することができました。
ご支援頂いた全国の皆様に、改めて御礼申し上げます。
毎週末顔を合わせていたメンバーと会えない日々が続きましたが、練習再開を試行錯誤する中で、私は1日でも早く『日常』を取り戻そうと考えていました。
主要スタッフで集まり、今後の練習再開へ向けた計画を立て、全体でのミーティングを行いました。
5月15日、震災から約2ヶ月。遂に練習再開を迎え、メンバーみんなで集まることができました。練習再開の地は、普段の練習場所とは違い、屋外の公園でした。
今考えれば大した練習は出来ていませんでしたが、久しぶりに再開したメンバーの顔はとても明るかったように記憶しています。
それからはメンバー・スタッフ共に必死で活動に没頭しました。
必ず全国大会に出場して、
「東北支部代表・宮城県からの参加、SENDAI Verduresの皆さんです!」
とコールされることを目指して。
そして何よりも、応援して頂いた全国各地の皆様に私たちの演技をご覧頂く事が恩返しになるんだ……という思いが強くありました。
2011年12月18日、全国大会に出場することができ、思いを遂げることができました。
私たちの活動が様々なご縁に導かれ、伝統ある『高崎マーチングフェスティバル』にご招待いただいたり、『DCJ All Japan Championships』ではリトリートの合同演奏で、普段ならチャンピオンコーのドラムメジャーが指揮をするところを、被災地を代表して指揮をさせていただいたりと、普段では出来ないような経験をさせていただくことに繋がりました。
また2015年には『TOMODACHI Honda 文化交流プログラム』に参加し、アメリカ・カリフォルニア州で毎年開催されている『Rose Parade』に参加したメンバーもおりました。
これまでの10年間や昨年1年間を振り返りますと、『音楽の持つ力の強さ』を再認識させられます。
この活動に没頭できる環境は決して、当たり前な『日常』ではなく、メンバーの音楽・マーチング活動に対する思いや、仲間と同じ空間・時間を共有するための努力があって初めて成り立っているのだ、と言う事を痛感させられます。
これからも私たちは、この『日常』が、全国各地多くの方々の応援や支援があり積み重ねる事が出来ている、という事を忘れずに、活動に励んでいきたいと思います。
震災から10年が経ち、辛く、悲しい事も沢山ありましたが、私たちは涙ではなく、笑顔を届けられるチームになりたいと考えています。
大好きな東北の地で、より多くの方々から愛されるチームとなれる様、これからも精進して参りますので、今後とも変わらぬご指導・ご支援のほど、宜しくお願い申し上げます。
令和3年3月11日
SENDAI Verdures
代表 相沢 茂紀